韓国の人気アイドルグループが、国連において韓国語で演説した。
私も韓国ドラマや映画等を見ることはあるが、韓流文化の波が世界に広がるのを実感した出来事であった。
文化が国境を越えて受け入れられること、そこには心の琴線に触れる“美”が秘められている。
「小さな胸に秘められた女人の移ろう春の情を、画筆が良くその真実を写し取れただろうか」
という題詩が添えられた蕙園(申潤福)作『美人図』を見たときの感動は忘れらない。
初めての出会いはドラマの最後を飾る一幅の絵画であった。
一人部屋に帰り、胸を締め付けていたものを解く仕草のなか、まなざしには、大切な人への想いが潜んでいる。
妓生として生きながら、心の奥に仕舞い込んだ深い情が滲み出ている。
「忍ぶれど 色にいでにける わが恋は 物や思ふと 人の問うまで」(百人一首四十番・平 兼盛)
を口ずさんだことがある。
私自身、本人でさえ自覚していなかった想い、堪えきれずに溢れ出した強い想いに共感を覚えた一人であった。
しかし、美人図の妓生からは、決して表に出してはならない情を必死で守ろうとする心意気が伝わってくる。 この真心こそが真実ではあるまいか。そして今、世界は真心を感じとって共鳴し合っている。
私は、この『美人図』に会ったことがない。しかし、いずれこの真実との出会いを楽しみにハングルと向き合っていきたい。
(俵 藤太)